新型コロナウイルスが日本や世界に多大な影響を与えたにもかかわらず、日本のスタートアップエコシステムは強化され続け、日本市場への参入を目指す海外スタートアップが増えています。Startupbootcam...
続きを読むコロナウイルスが日本や世界に多大な影響を与えたにもかかわらず、日本のスタートアップエコシステムは強化され続け、日本市場への参入を目指す海外スタートアップが増えてきています。Startupbootcamp Scale Osaka Alumni Story インタビュー第1弾は、「Startupbootcamp Scale Osaka Cohort 2」(スタートアップブートキャンプ・スケール大阪 第2期、以下SBC 大阪) のメンバーであり、シンガポール発のフードテック企業「CRUST Group」 の代表取締役社長である Travin Singth さんです。SBC 大阪に参加した経験や日本市場参入時のお話などを聞いてみました。

Travin Singth
CRUST Group 代表取締役社長
食品ロスのアップサイクルを行うフードテック企業「CRUST Group」の代表取締役社長。元シンガポール海軍であり、一時は保険会社でファイナンシャルアドバイザーを務めていた Travin 氏は、自身のチームと手探りで築き上げた成功体験を、シンガポールだけではなく、日本・アジアに広めていきたいと考え、2020年に日本進出を決断。食料廃棄という世界規模の問題に対する解決策は、生産者と消費者、そしてその間にいるすべての人々との協力にあると信じ、「2030年までに世界の食品廃棄物を1%削減する」という目標達成を目指す。

「CRUST」設立の経緯をお聞かせいただけますか?
2018年当時、起業したいという気持ちはありましたが、ただお金を稼ぐことだけを目的にしたいとは思っていませんでした。利益は得られるが、解決策を見出すことが主で、これからの未来のビジネスのあり方の参考になるような価値観を持つ会社を作りたいと考えていました。
お金は、あくまでも正しいことを正しい方法で行うための副産物であることを証明したかったのです。私は以前から自家製ビールを造っており、ビールの起源についていろいろと調べました。すると、パンを保存することが、最も古いビールづくりの一つであることを知りました。それが「CRUST」設立のきっかけです。
また、私は食べ物を無駄にしないというメンタリティーを持って育ちました。小さい頃から母が料理を作ってくれて、その日に食べきれなかったものは、次の日に新しいものに取り入れたりしていました。それが、CRUST Group を立ち上げるにあたっての理念であり、食品廃棄物を減らし、価値ある製品を開発するという持続可能な会社を作るということです。

Startupbootcamp Scale Osaka との出会い
Startupbootcamp Scale Osaka プログラムに参加してみた感想や、日本市場への参入を目指す上で得られた気づきなどがあればお聞かせください。
大変でしたが、素晴らしい経験でした。これまでの認識が本当に大きく変わり、学ぶべきことがたくさんあることに気づかされました。しかし、日本の企業とともに学び、働くことで、日本市場についてより深く理解することができ、以前よりも心構えができるようになりました。
政府機関や大企業のトップの中には、日本市場について「人口が減少し、経済成長率が低下している」と暗い見方をする人もいます。日本は本当にスタートアップ企業にとって大きな市場なのでしょうか?また、日本市場にどのようなビジネスチャンスを見出したのでしょうか?
日本の名目国内総生産(GDP)は世界第3位、購買力平価(PPP)では世界第4位の規模を誇ることに変わりはありません。ですから、日本にはまだ多くのチャンスがあると考えています。日本市場でビジネスの信頼関係を築くのに約1年はかかりましたが、2021年第3四半期には日本の多くの方々より反響をいただきました。すでに日本での資金調達も確保し、大企業とも多くの契約数を見込めるほど、急成長を続けています。
日本市場への進出にあたって苦労したことはありますか?
私たちが直面した問題のほとんどは、他のスタートアップ企業と同様でした。単に日本の経済市場を理解するだけではなく、研究開発、サプライチェーン、人材など、多くのスタートアップ企業に共通するような課題もたくさんありました。CRUST では従業員同士の協力的な働き方が定着しており、大企業と共に働く中でも多くのことを学んできました。また、困難に直面したときには、「学び、実践し、また新たな局面がきたら、今までの経験則を捨てて学び直し、挑戦する」というビジネス思考を取り入れています。
SBC 大阪に採択されたことで得られたことはなんでしょうか?
日本は非常に文化的な市場であり、長期的な関係を築くことは本当に重要です。時間がかかるものもありますが、正しい考え方とアプローチで、不可能ではありません。
最後に、日本市場における CRUST の今後の展開についてお聞かせください。
CRUST を日本全国に普及させ、その後、第2ブランドのCROP(ノンアルコール飲料ブランド)を立ち上げることです。
Travin さん、ありがとうございました!
■ CRUST について
CRUST Group は、2030年までに世界の食品ロスの1%を削減することをミッションとし、まだ食べられるのに廃棄されてしまい食品ロスとなってしまうような余剰食料のアップサイクルを通し、外食産業や小売業界に新たな価値を提供していきます。
関連の記事&ケーススタディー
GIF大阪大会レポート
大阪商工会議所主催のGIF(グローバル・イノベーション・フォーラム)大阪2021で開催されたパネルディスカッションに招待され、光栄にも参加させていただきました。NLI研究所の中村洋介さん、マルイ・プラ...
続きを読むRainmaking Innovation Japan、アクセラレータープログラム Startupbootcamp Scale Osaka 第3期参加スタートアップ10社を選抜
「Startupbootcamp Scale Osaka Cohort 3」(スタートアップブートキャンプ・スケール・大阪 第3期)に向け、11月9日から11日にわたり最終選考を実施し、本年度のプログ...
続きを読む2025年大阪・関西万博を見据えた共創による スマートシティ実装シンポジウム
今回のシンポジウムとコモングラウンド・リビングラボとの本協定を通じて、Rainmaking Innovation Japanは、大阪および日本の「Smart Cities(スマートシティ)」領域におけ...
続きを読む